森町防災ネット

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【連載】防災をテーマにしたIT活用と地域活動(第1回) | 中小企業のIT経営マガジン COMPASS

地域活性化や安全なまちづくりの実現は、そこに住む人々の意識や主体的な活動が大切である。静岡県森町では、防災ネットの協議会活動を通じて、顔が見える地域活動が進んでいる。同活動のメンバーであり、IT活用のアドバイザーでもあるITコーディネータの和田喜充氏に森町防災ネット協議会の活動を数回にわたり連載していただく。(編集部) とうもろこし直売所がスマホで探せる「とうもろこしマップ」 初夏になると、人口2万人ほどの小さな町のあちこちで早朝から行列ができる。 「遠州の小京都」と呼ばれる静岡県周智郡森町では、特産品のとうもろこしが出荷時期を迎え、町内に点在するとうもろこし生産者直売所には、 “採れたて”を求めて町外から多くの人が足を運んでいる。 森町のとうもろこし メロンを上回る糖度を誇る森町産のとうもろこしは、収穫から時間が経つと糖度が下がってしまうため、夜明け前に収穫されたものをその日のうちに食べるのが醍醐味と、ここ数年直売所を訪ねることがブームになっている。 町内には30軒ほどの生産者直売所があるが、幹線道路から外れたわかりにくい場所にも多数存在している。人気の直売所は午前中で完売してしまうことも珍しくなく、「わざわざ足を運んだのに売り切れで入手できなかった」という声が聞かれるうえ、渋滞なども発生する。 そのため森町産業課農業振興係では、町内の直売所を案内する『とうもろこしマップ』を作成し、役場のホームページからPDFデータでダウンロード公開しているが、認知度はそれほど高くない。 地域資産をITで伝える 人気ある地域資産をITを使ってもっと多くの方に活用してもらうことはできないものか?そんな発想から、今年、新たな試みとしてスマートフォンやタブレットで利用可能な『とうもろこしマップ』が提供開始された。 地図上にマークが付けられた生産直売所情報は、スマホのGPS機能を使って現在地点から最寄りの直売所を一覧したり、連絡先や経路を調べるだけでなく、直売所が発信するブログの最新記事も簡単に閲覧することが可能となっている。 この仕組みを提案したのは、住民有志によって構成されている森町防災ネット協議会だ。防災ネットととうもろこしマップ。一見接点がなさそうだが、「地域をITで豊かに」との発想で結びついている。

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【連載】防災をテーマにしたIT活用と地域活動(第2回) | 中小企業のIT経営マガジン COMPASS

地域活性化や安全なまちづくりの実現は、そこに住む人々の意識や主体的な活動が大切である。静岡県森町では、防災ネットの協議会活動を通じて、顔が見える地域活動が進んでいる。同活動のメンバーであり、IT活用のアドバイザーでもあるITコーディネータの和田喜充氏に森町防災ネット協議会の活動を数回にわたり連載していただく。(編集部) 大規模災害に町のIT環境は対応できるのか、という問いかけ 2011年4月、森町を見下ろす城趾の公園で、数名の有志が空き缶と天ぷら油で作ったコンロを使って炊いたご飯を食べながら、ちょっと変わった花見の会を催していた。 集まったのは地域ブログでの情報発信がきっかけで出会い、地元の活性化を願って町づくり活動などに積極的に取り組む仲間。これまでは、「町の賑わいを取り戻すには?」と知恵を出し合う場面が多かったが、その日はこの1ヶ月で感じた不安を語り合っていた。 3月11日に東日本を襲った大震災の被害状況が日々様々な形で伝えられてくる中で、自分たちがもし被災したらその時自分たちで何ができるだろう?今から準備しておけることはあるだろうか?と。 震災時は、携帯電話の通話が断絶した状況下で、とっさに使ったツイッターでの現場からの情報伝達が有効であった事例などを耳にしていた。その反面で、デマや不確かな情報が混乱を招く原因になっていたことも報じられていた。 顔を合わせての勉強会だけでなく、研究会で習得したSNSやクラウドを駆使して請願書類を作成 そこでメンバーは「森町防災ネット研究会」と名付けた会を発足し、毎月1回のペースで集まり、被災時や防災のために有効なITツールの利活用について検証・調査を始めることとなった。 議論したのは、SNSやスマホなどの普及度や利用実態、そしてどのようなツールが災害時に役立ちそうかなど。多様化し変化を続けるIT環境に住民一人ひとりが目を向け、多くの人が利用しやすい災害情報発信のあり方も検討した。 併行して、森町の現況に目を向けた。当時の森町の公式ホームページは決して頼りになるものではなかった。町では全戸に同報無線の受信機が設置されているが、その運用が果たして有事に役立ってくれるのか?という心配の声も上がった。 有志の懇願から官民一体の取り組みへ 研究会では半年後、次のような請願を議会に提出することとした。

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【連載】防災をテーマにしたIT活用と地域活動(第3回) | 中小企業のIT経営マガジン COMPASS

地域活性化や安全なまちづくりの実現は、そこに住む人々の意識や主体的な活動が大切である。静岡県森町では、防災ネットの協議会活動を通じて、顔が見える地域活動が進んでいる。同活動のメンバーであり、IT活用のアドバイザーでもあるITコーディネータの和田喜充氏に森町防災ネット協議会の活動を数回にわたり連載していただく。(編集部) 身近に起きていることを動画で発信する訓練 「こんばんは。森町防災ネットTVの時間です。まずは今日の森町の様子を◯◯さんお願いします」 森町役場に併設された森町町民生活センターのロビーで、月に一度不思議な光景が見られる。 町民憲章を背にし、一時的に配置を変えたソファには普段着のキャスター。三脚にはテレビカメラではなくスマートフォンが設置されている。市民自らが情報のライブ配信を行っているのである。 持ち寄った情報を各自のスマホを使って、Ustreamを利用したライブ配信に挑戦 いざというとき、誰が身近な情報を発信するか 2013年1月に協議会にて実施した町内アンケート(※3)によると、災害が起こった際の情報収集方法はテレビ、ラジオや同報無線が占める割合が大きく、ネットを活用しようという人はあまり多くなかった。 しかし、実際に大きな災害が発生した場合は、こうしたメディアでは追い切れないごく身近な場所での危険に直面していることの方が多いだろう。そんな時に備えるためにも、日頃から身近なところで発信されている情報に関心を持ってもらうことが必要だろうと考えた。 いざとなったら一人ひとりが発信者となることも想定し、まずは協議会メンバーによる積極的な発信を試みようという挑戦が始まった。 誰かがやってくれるのではない。特別な設備や環境も必要としない。どんな状況下でもその時に身近にあるものを使って誰でもできる発信スタイルにも慣れておこう──というのが、『森町防災ネットTV』の狙いなのである。 身近な機器で交代で情報発信者に カメラマンや機材係、キャスターは毎回持ち回りで交代している。 最初は遠慮や緊張をしていたメンバーたちも、回を重ねるうちに余裕が生まれ、今では誰もが咄嗟に色々な役をこなせるようになった。 時には役場の防災や商工観光を担当する職員もお知らせに登場する。

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【連載】防災をテーマにしたIT活用と地域活動(第4回) | 中小企業のIT経営マガジン COMPASS

地域活性化や安全なまちづくりの実現は、そこに住む人々の意識や主体的な活動が大切である。静岡県森町では、防災ネットの協議会活動を通じて、顔が見える地域活動が進んでいる。同活動のメンバーであり、IT活用のアドバイザーでもあるITコーディネータの和田喜充氏に森町防災ネット協議会の活動を数回にわたり連載していただく。(編集部) ITツールが、緊急時に本当に役立つものとなるために 東日本大震災をきっかけに、「自分たちで防災のために備えておけることは何だろう?」という問いかけから始まった森町防災ネット協議会の活動も5年目を迎えることになった。 メンバーの意識は高まり、町のホームページや緊急同報無線の運用に関する提言、ライブ動画配信、地図と連携する情報アプリの提供など、活動成果は少しずつ形になってきている。 しかし、次の課題も見えてきた。メンバー以外の住民一人ひとりが普段から危機意識を持ち、日頃の防災活動や有事の際のITの有効性を広く認知すること。そして自発的に防災にITを活用してもらうための取り組みである。 まずは毎年秋に開催される地域イベント『もりもり2万人まつり』に、協議会ブースを設けてPRすることにした。 災害時に頼れそうな情報をまとめた防災カードをイベントで配布 単なる展示では関心を持たれにくいだろうと、携帯できる防災カードを作成し配布した。防災カードには協議会のウェブサイト、災害時に役立ちそうなスマホアプリや情報サービスが紹介されている。普及が進むスマートフォンやタブレットは防災や災害発生時にも有効なツールであることを再認識してもらおうと来場者に声をかけたが、実態は理想と大きくかけ離れていたのだ。 スマホやタブレットは多くの人が手にしているにもかかわらず、電話やメール、そしてカメラ機能程度しか使っていない方がほとんど。せっかく手にしているツールの大きな可能性に気づかず、利便性を十分に享受できていない。正しい使い方すら誰からも教えてもらえずに戸惑っている方が多い実態が見えてきた。 スマホ・タブレットを相互に教え合う そこで、協議会では毎年開催される町民大学・森の夢づくり大学にて「スマホ・タブレットよろず相談塾」と銘打った講座を開講した。これには予想以上の反響があった。

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【連載】防災をテーマにしたIT活用と地域活動(最終回) | 中小企業のIT経営マガジン COMPASS

熊本地震の様子を受け、太田町長に緊急提言 地域活性化や安全なまちづくりの実現は、そこに住む人々の意識や主体的な活動が大切である。静岡県森町では、防災ネットの協議会活動を通じて、顔が見える地域活動が進んでいる。同活動のメンバーであり、IT活用のアドバイザーでもあるITコーディネータの和田喜充氏に森町防災ネット協議会の活動を5回にわたり連載していただいた。今回で一区切りとなる。(編集部) 小さなことの積み上げで地域を変えていく 森町防災ネット協議会として官民一体となった防災活動は、少しずつ着実に新しい取り組みを増やしている。昨年度の活動報告をまとめて町議会に提出し、新年度はより多くの賛同を集めて町ぐるみの活動にしていきたいと方針を定めたところに衝撃が走った。 4月14日に最大震度7の『平成28年熊本地震』が発生。揺れが続き、広範囲で大きな被害をもたらす中で進められた救助や復旧作業、同時に避難所への救援物資の運搬、ボランティアによる支援などが開始される状況を、協議会メンバーも固唾を飲んで見守っていた。 信頼できる発信源から迅速で正確な情報が広げられるかどうかで、次の動きに差が生まれているように見受けられた。森町に当てはめた場合に、緊急に対応しなければいけない課題があることに気付き、協議会では『東海地震』の備えとして町に緊急提言をした。 災害時におけるICT活用についての緊急提言 森町公認のTwitter、Facebookアカウントでの情報発信 森町各地域から防災情報発信協力員による地域情報の発信 Wi-Fiポイントの増設 情報発信、受信のためのスマホ・タブレット等の使い方講習の実施 町長に手渡された提言は、森町役場の若手職員で新たに構成されたICT推進委員会で検討され始めている。また、6月の協議会定例会議にはICT推進委員会の若手職員が加わった。ライブ動画放送『森町防災ネットTV』にもゲストとして登場し、自らが情報発信者となることに挑戦し森町の魅力をカメラの前で語ってくれた。 若手女性職員チーム『森女(もりじょ)』も森町の魅力発信に挑戦 協議会活動が住民と自治体の橋渡しとなる

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